『パコと魔法の絵本』

雑誌での広告と、テレビでのCFのみで、どんな内容なのかわからず。ノベライズが文庫で出たのを読んだ長女次女が「映画を観たい」というので、観た。

初出は芝居なのだという。確かに、リアルな背景とは違う。こういう場所は、リアルにはありえないだろうという場所が舞台だ。登場人物も、かなりデフォルメされている。それでも、感情移入は容易であり、悲しみも慈しみも自分のことのように思えたのは、役者の力量であり、監督の腕前なのだろうと思う。

ストーリーとしては、特に奇異なこともないのだが、昨日の記憶が残らないと言う状況を、小さな子どもたちは多分、理解できないだろう。それでも、偏屈爺が小さな女の子のために絵本の主人公を演じるという設定を楽しんだろうと思う。

大人になってから、本当の理由を知ったときに、新たな感動を覚えるだろうということも、想像できる。それだけ、なんども観たい、読みたい物語だった。

ひとの顔を覚えるのが苦手な三女が、劇団ひとりさんのことはちゃんと覚えていたのは、その演技や役柄が印象的だったからだと思う。パコちゃんの笑顔と、大貫のしかめっ面とともに。