『天国のいちばん底』勝谷誠彦著(「サンデー毎日」掲載)


登場人物の多い小説は、それぞれの個性が際立っていないと、登場人物に感情移入する暇もなく読み終わってしまう。あとに残るのは、感動とは程遠い読後感。人の名前を覚えるのが苦手な自身にとっては、途中、投げ出すこともままある。かといって、逐一登場人物を抜書きしながら読むというのも、不興だろう。


それでも、ひとつの手法として、試みる。教本は勝谷誠彦氏の『天国のいちばん底』。これは、週刊誌『サンデー毎日』に連載されたもので、挿絵を漫画家の竹宮恵子さんが描かれている。異色な組み合わせではあるが、そのわけを知りたければ、この小説を読むべし。

舞台   

  • 昭和50年代  関西にある名門私立校 「凪校」 中高一貫校である。 母体は、老舗の大手日本酒メーカー
  • 主人公  ボクチャン(加藤 真 かとう まこと)
  • 家族構成  

父  小説家志望だったが、小児科医院を開業
      母  元バレリーナ
      弟  聡(さとし)4歳下

  • 友人   奥田   語学に長けている

     殿下(8/20号では「松平」だったのに、12/31号では 「三木」になっているが?)財閥の御曹司 電波系が趣味
    レッサー(畔田) 戦前の日本やナチスドイツに詳しい
     グフ(山本) 旅館の息子 料理が得意
     萩野   東京からの転校生 プラモデルが趣味

     如月涼(姫) 拳闘部員 美少年

  • 先輩   地学研究部  佐山 稲毛 常本 高島(カマ島)能勢

     物理研究部  山上 如月涼の知り合い。株をやっている
     拳闘部OB  浅野

  • 先生   藪沢透先生  化学教師 専攻は地質学 地学研究部顧問 主人公に絶大なる影響力を浴びせた

     北谷先生(ちゃたん) 6年間主人公の担任
     三井先生   化学研究部顧問
     長谷部先生(ハセゴリ) 体育教師 生徒指導が主?
     村田先生   美術教師 学校の敷地内に自宅を建てて住む
    館林先生   数学教師 「ラーメン大好き小池さん」似
     堤先生    日本史教師
     田中栗之介(くりのすけ) 政治経済教師 授業中に主人公と大議論を展開する

  • マドンナ 辻智子   如月涼によく似ている

     福田和美  
     藤原由紀子
           3人とも、福原女学院の生徒である 

  • 『新詩人』  信州の同人詩誌 発行人 小出ふみ子     

    

もっと詳しく書くこともできるが、それは実際に小説を読み進めていくうちにはわかることである。人生において、人との出会いは貴重なもの。別れが永遠であることもままあり、あるいは思わぬ覆水流となって噴出すこともある。主人公の出会いが、これから先の人生をどう塗りあげていくのだろうか。連載はすでに終了しているが、続きは勝谷さんの有料メールで購読が可能だ。同時代を生きている方々には、ぜひおすすめしたい。

ところで、「姫」というニックネームで呼ばれている如月涼。竹宮恵子さんのお描きになった漫画に出てきませんでしたっけ?