友人と会う(その2)

神楽坂駅での待ち合わせ。34年ぶりに会う彼女は、変わっていなかった。中学1年のときに同じクラスになり、2年で別なクラスになったものの、週1度あった必修クラブの「理科クラブ」で、毎週妙な実験をすることに喜びを感じていた頃。進路先の高校は別になり、そのまま音信不通となっていた。が、ひょんなことからネットで再会し、上京の際に時間を調整してもらって、会う運びとなった。彼女は、神楽坂界隈で泌尿器科の医師をしている。忙しい彼女をつきあわせて、彼女が選んでくれたベルギービールのお店へ。食べたことのない肴と、飲んだことのないビールと発泡酒で、再会を祝う。お互いの近況報告や、友人たちの消息、これから先はどうなるんだろうといった話をする。

「クリニックを出てくる前に、ちょっとアクシデントがあって、どうしようかと心配したんだけれど、よかった。携帯の着信なかった」

ちょっと落ちつかなげな彼女の様子は、そんな理由があったのか。自分でクリニックを経営しているのだから、ほっとできる時間は少ないのだろう。それでも、ゆっくり3時間ばかり話し込んで、終電に間に合わなくなると困るわたしとともに電車へ乗り込み、次の駅で彼女は別れたのである。


3人の友人たちと再会した旅。それは、わたしにとって「過去」へ旅をした気分にさせてくれた。神楽坂という街の雰囲気が、それを縁取ってくれた旅だった。