『鳥類学者のファンタジア』

誰の書評で知ったのか記憶にないが、とにかく「読んでみたい」と思いつつ、書店で探しても見つからずそのままになっていた。公民館の図書室で見つけて、借りた。

鳥が出てくるのは最後の方、ほんの少しだけ。これは、音楽の話であり、芸術の話であり、ひとの生き方の話であり、歴史の話であり、猫の話である。

シュレディンガーの猫が案内する旅。主人公が語る旅の記録をたどる。読みながら「うん、うん、そうなんだよ。わかる、わかる」とうなずいてしまうほど、感情移入してしまった。

後に残ったのは、快い疲労と希望。主人公と一緒に、良い旅をした気分だった。