『不思議のひと触れ』

シオドア・スタージョン。結婚して、本を読むヒマもなく過ごしていた。海外作家の名前は、過去に読んだものしか記憶に残っていない。果たして、読んだことがあったのだろうか、という気持ちで手にした本。


久々に、翻訳モノと意識して読んだ。10篇の短編。

「高額保険」
彼は犯罪を犯したのだろうか。それとも、騙されたのだろうか。妙なオチの作品だった。

「もうひとりのシーリア」
で、彼女は何者だったんだ。

「影よ、影よ、影の国」
継ッ子が、継母をやりこめる話。

「裏庭の神様」
普通にありそうな新婚夫婦が、結婚して現実を目の当たりにし始める過程を、妙な手法で描いた作品。

「不思議のひと触れ」
もう少し、情緒的な翻訳でもよかったような気がする。すてきな物語なのに、感情移入できなかった。

「ぶわん・ばっ!」
音楽が聞こえてくるよ。

「タンディの物語」
地球幼年期の終わり』の縮小版? でも、作者がよく子どもを観察しているのがわかる。

「閉所愛好症」
なるほど、そういうこともあるわけだ。引きこもりがちなオタク青年に朗報。

「雷と薔薇」
世界中のあちこちから原爆攻撃を受けたあとのアメリカの話。歌姫が訴える「報復攻撃はやめましょう」と。1947年に書かれているものだ。

「孤独の円盤」
小さな円盤が、ひとりの女に残した伝言。そして・・・不思議なロマンス小説に仕上がっている。

と、最後の解説を読むと、これらはかなり昔に書かれたものであるということがわかる。初めて読む者にとっては、あまり書かれた年代は気にしないものではあるが、改めて、スタージョンの凄さに感服してしまった。

全然古くない。