晴れたよ

麦蒔き~。と言っても、ふつうの麦蒔きとは違う。テープシーダーと言って、種を一粒づつ十数センチおきにテープの中に編みこんでいく。作物の管理生育に使用する。一粒一粒が管理されているということだ。

専用の播種機で埋め込まれていく。そのテープがちょっとでも地面から見えていると、カラスが引っ張り出してしまうという。だから、蒔かれていく後ろからついていって、覆土する。
「まるで、ストーカーのようだね」
「でも、先に行かれても困るよ」
単純作業だけに、しょうもない会話でもしないと、集中力がなくなる。

喪中の葉書が届いていた。差出人の名前を見ると覚えがない。よく読んでみると、亡くなった方が、知り合いだった。知り合いと言っても、言葉を交わしたこともなければ、会ったこともない。それでも、40年近く消息を確認しあった関係だ。

札幌で、かつて『星群の会 札幌支部』に所属していた方。

氷垣 浄 さん(平成16年6月13日 急逝)

もちろん、本名ではない。性別も、仕事も近況も知らないまま、年賀状だけの繋がり。何年か前、初めて女性である事を知り、生後3ケ月のお子さんを亡くし、それでも次に生まれたお子さんの写真を年賀状にして送ってくれた。彼女とのやり取りは、そのぐらい。こちらの状況は『風便り』で、知っていたと思う。

喪中の葉書を送ってくれたのは、彼女のお姉さん。彼女の住所録から送ったとある。どんな思いで、わたしの住所を、記録してくれていたのだろう。深い繋がりはなかったけれど、彼女がもうこの世にいないことに寂しさを感じる。残されたご家族の皆様の幸いを祈りたい。合掌