女中奉公

長女の就職が決まって、祖父母も家族も一安心といったところ。
そんな長女、中学時代は、一桁の点数をとってくるような、成績からみれば「落ちこぼれ」だった。

そんな成績を見ながら、わたしは長女によく言った言葉がある。
「こういう成績じゃ、仕事は女中奉公だね」
わたしとしては、それが最低の仕事だと言う事ではなく、どんな仕事でも生きていけるんだよ、ぐらいな軽い気持ちだったんだが、受け取った長女は悩んだらしい。
「女中奉公って、どうやったらいいんだ?」

専業主婦も、農家の嫁も女中奉公と変わらないような気もするが、中学生だった長女には、なんのことかわからなかったらしい。今では笑い話になっている。

その「落ちこぼれ」だと思い込んでいた長女。商業高校に入学し、推薦で4年制大学に入学。5年で卒業(笑。でも、卒業できたってことは、すごい事だと思う。

「でも、これから、なんだと思うよ」
長女はやる気満々。でも、無理はしなくていいよ。小さい頃から、我慢ばかりさせてきたツケが、大人になってからでてくるんだとわかったから。

アパートに戻るという長女をちょっと先の駅まで送ることにする。途中、長女の母校に寄る。あと2年で長女の母校は廃校になる。入学希望者が少なくなり、存続していく理由がなくなったこと。高校そのものには未練はなさそうだが、高校時代は演劇部、生徒会活動を通して、いろんなひとと知り合った長女。

「若い頃は、いろんなひとと出会う事が宝だ」

そういう思いは、間違いではない。わたし自身がそうだったから。これからまた、長女はいろんなことを経験していくんだろうな。がんばれよ。