PTA研修視察

三女の学校のPTA行事

埼玉県にある「どんぐりの家」
あの山本おさむさんの漫画のもとになった、重複障害者の入所施設。

耳の聞こえないのと同時に、知的障害あるいは精神障害、目が見えないといった障害がある方たちが、共同生活を営みながら働いている。
障害はそれぞれの度合いが違う。けして、仲良くとはいかないまでも、お互いがよりそいながら「仲間」として暮す。

所長さんのお話を聞く。職員の皆さんの苦労も、ご家族の心配も共感できる。

お昼は、入所者と同じ食堂で取る。隣りに座っていたわたしと同年代らしい男性に、筆談を試みる。腕時計をしていたので、文字は読めるのだろうと思って。
「仕事はたいへんですか」
返事は、勢いよく手話で返ってきた。わたしに手話はわからない。でも、その表情でなんとなくわかる。誰かのせいで、腕をけがしたと言っているらしい。
「たのしみはなんですか」
食べることだと言っているらしい。
「がんばってください」
笑いかけたら、微笑んでくれた。

他の場所でもそうだったが、ほとんど無表情の方が多い。笑顔でいられるのは、幸せな子供時代を過ごした方なんじゃないのかなとも思う。

ひとりの全盲全聾の年配の方は、知的障害はないが、学校へ行かせてもらえなかったために知識が少ないのだという。それでも、手話で仕事の内容を説明してくれる。目が見えないので、相手の手を触れて、手話を読み取る。

引率の先生が手話で彼女と会話を試みる。先生が知っている手話と少し違うので、ときどき首をかしげながらも、答える。でも、そうしてコミュニケーションしているうちには、彼女の表情は柔らかく優しくなっていく。

自分の気持ちが、相手に伝わる。とてもうれしいことなんだ。

逆に、手話のわからない入所者の欲求を引き出そうとする、職員の努力はたいへん。入所者同士のケンカを止めるのは
「言葉の違う人種同士のケンカを、言葉の違う人間が止めるようなものです」
という。

入所者のけがも、そういうことで起きる。自分の気持ちを表現できないもどかしさ。

健常者でさえ、難しい時がある。